楽しい幼稚園

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  君のおうちは?  

 とりあえず昼食を終えたゼルは、サイファーの隣で大人しくしている。なにやら自分のことで大人たちが話し合っているのがわかるのだ。
「本気か、サイファー?」
「ああ。殴るスピードも反射神経も、幼児にしちゃ上等だ」
「それでも……町で迷子になったらどうするの?」
「心配いらねぇよ。ドッグタグつけてやる」
 サイファーがコートのポケットからチェーンを引っ張り出す。
 それをゼルの首にかける。ゼルはそのタグを持ち、ためつすがめつしている。
「見た目と生年が一致しねぇが、ま、名前と所属がわかりゃいいだろ。な、チキン?」
「うん」
 わかっているのか、わかっていないのか。ゼルが満面の笑みで返事をする。
 ふとスコールの頭を妙なことがよぎった。
「……ちゃんと、正しく自分の所属を答えられるんだろうな?」
「あ?」
 スコールの言わんとしている事に真っ先に反応したのはキスティスだった。サイファーのことだ、妙なことを教えているかもしれない。
「そうね、ちょっと練習してみましょう」
「さ〜んせ〜」
 セルフィが楽しそうに笑う。
「まず、あなたのお家はどこですか?」
「さいふぁのおへや」
 え、と一同の目が点になった。
「違うだろ、バカ! ガーデン、だ、ガーデン!」
「がーでん。がーでんのさいふぁのおへや?」
「ガーデン、だけでいいのよ」
 わかった、とゼルはこくこく頷いた。
「あ、でもね。ガーデンの中に居る時は、サイファーのお部屋、でいいんだよ〜」
 余計なことを教え、セルフィの鉄拳を喰らったのはアーヴァインである。

<4へ続く>
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